じゅうのブログ

3度目の引っ越し……こちらでボチボチ更新していく予定です。

『満潮〈上〉〈下〉』 シッラ・ボリリンド&ロルフ・ボリリンド(著),久山葉子(翻訳)

スウェーデンの作家シッラ・ボリリンドとロルフ・ボリリンドの共著の長篇ミステリ作品『満潮〈上〉〈下〉(原題:Springfloden)』を読みました。
スウェーデンの作家の作品は、2月に読了したアンデシュ・ルースルンドの『三時間の導線』以来ですね。

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過去を掘り起こすオリヴィアの行動が人々を揺さぶる
世界28か国で刊行! 全世界でシリーズ60万部突破の衝撃のミステリ

〈上〉
1986年ノードコステル島。女性は頭だけ出して、生きたまま砂浜に埋められていた。
波が容赦なく身動きのできない女性を襲う。
警察大学のオリヴィアは、夏休みの課題で未解決の事件を調べていた。
刑事だった亡き父が、二十数年前にノードコステル島でおきたその事件を担当していたのだ。
オリヴィアは話を聞こうと父親の部下だった男を探すが……。。

〈下〉
ホームレスが襲われ、執拗に暴行される事件が続いていた。
どうやら生活費を稼ぐために路上で雑誌を売るホームレスばかりが狙われているらしい。
暴行の模様は動画に撮られ、ネット上で公開されている。
いったいなんのために暴行しているのか? 一方オリヴィアが探していた行方不明の元捜査官は、どういうわけかホームレスのなかにいた。
過去を掘り起こすオリヴィアの行動が、意外な関係者たちを揺さぶる。
一流企業の取締役、政治家、エスコートビジネスの経営者……。
そして最後にたどり着いた真相は、オリヴィア自身が予想だにしないものだった。

マルティン・ベックシリーズのシナリオを手がけた人気脚本家コンビが放つ衝撃のミステリ。
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スウェーデンで著名な映画・TVの脚本家であり、夫婦でもあるシッラ・ボリリンドとロルフ・ボリリンドが初めて手掛けた作品……2012年(平成24年)に刊行された、オリヴィア・レンニング・シリーズの第1作です。

1986年ノードコステル島、その夜は大潮だった……だがまだ潮は引いている、、、

砂浜の3つの人影は穴を掘っていた……ちょうど人ひとりが頭だけ出してすっぽり入るくらいの穴だ。

4人目の人物……少し離れたところに手を縛られたまま、立ちつくしている女――のための穴、、、

その若い女性は頭だけ外に出して、砂浜に生きたまま埋められた……ひとつめの波が流れこみ、長い黒髪がゆっくり水を含んでいく。

そして波が容赦なく身動きのできない女性を襲った……。

2011年夏、ストックホルム……警察大学3年生のオリヴィア・レンニングは、夏休みの課題として選択した20数年前のノードコステル島の女性殺害事件を調べていた、、、

実は警察官だった彼女の亡き父が、かつてその事件を担当していたのだ……殺されたのは若い妊婦、犯人は見つからず、容疑者すら挙がっていない。

オリヴィアは話を聞こうと当時父親の同僚だったという男を探したが、心を病んで警察を辞めたというその男の足取りはまったくつかめなかった……一方ストックホルムでは、ホームレスが何者かに襲われ、執拗に暴行される事件が続いていた、、、

どうやら生活費を稼ぐために路上で雑誌を売っている販売員が狙われているらしい……暴行の模様は動画に撮られ、ネット上で公開されている。

ネットで公開するために暴行しているのだろうか? 驚いたことにオリヴィアがさがしていた行方不明の元捜査官は、ホームレスのなかにいた……過去を掘り起こしていくオリヴィアの行動が、意外な関係者たちを揺さぶる、、、

一流企業の取締役、政治家、エスコート会社の経営者……そしてオリヴィア最後にたどりついた真相は、彼女自身が予想だにしないものだった。

マルティン・ベック・シリーズのシナリオを手がけた人気脚本家コンビが放つ衝撃のミステリ。

いやぁ……予想以上に面白かった! 愉しめましたね! 複数の人物の視点で、1986年に起きた殺人事件と現在(2011年)に起きた事件が描かれ、一見バラバラと思える出来事がひとつの物語に収斂される展開と予想できない意外な結末、そして、主人公のオリヴィアをはじめ、元刑事でホームレスのトム・スティルトン、国家犯罪捜査局の警視メッテ・オルセーテル、カジノのディーラだが実は優秀なナイフの使い手であるアッバス・エル=ファッシ等、主要な登場人物に魅力があり、気持ちをシンクロしながら読めたことが愉しめた要因だと思います……本国スウェーデンでは続篇が刊行されており、本作が序章に過ぎなかったようなドラマが待ち受けているとのことなので、ぜひ読んでみたいです! 早く邦訳してほしいですね。